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探索62日目 2008-11-15
初雪が夜の闇に舞っている。
焚き火の朱が、切片に映し出されて、ぼうっと灯る。
寒いはずなのに、ああ、言葉と思考が纏まらない。



黒翼の物怪との戦いで、私は胸部に裂傷を負った。
戦闘服が大きく破れたが、運良く大した傷ではなかった。
が、内ポケットが破れてしまい、大事な指輪を紛失したまま、ここまで来てしまっていた。
道理で手を当てたときの手応えがないはずだ。

あまりのことに言い出せず、黙っていようと思ったのだが、隠蔽の重さに耐えかね、告解に至った。
婚姻のそれがなかったことになるかもしれなかったが、もしかしたら私はそれを望んでいたのだろうか。
或いは手厳しい罰を望んでいたのかもしれない。
嫌悪されたかったのかもしれない。

そうなればあの方は、ただ単に「少し縁のあった女と別れた」だけという、比較的軽い痛みで私と距離を置くことが出来、目的を遂行すれば、後は穏やかに暮らせるだろうから。
いずれ私のことは、忘却の砂の中に埋めて下さるだろうからと―――



思っていたのに。

ああ、だめだ、どうすればいい。

胸が痛い。赤く熱した鉄塊を差し込まれたようだ。
痛く、苦しい。
苦しく悲しいのに、歓喜が湧いてくる。

何故そんな簡単に、気軽に取りに行こうなどと。
あんな危険地域に。



そして、何故私などを伴侶にしたいと仰られるのか。



汚い稼業故にと言ったのは、命を奪うことを生業としているからだけではない。
死した亡者とその縁者からの、呪いと恨みを一身に背負っているからだ。
一生消えることのない、どす黒い怨念と災いが付きまとっているからだ。
それを知らずとも、全く感知できぬ程鈍い方ではなかろうに。



こんなに寒い森の夜なのに。
胸が痛い。
眦が熱い。



返答は、出来なかった。出来ようはずもない。
だが、現時点での感情の伝達は出来たと思っている。
否、してしまったという方が正しいのか。
これについては、あの方からも同じ返答を頂けて……



―――……駄目だ、駄目だ。考えが纏まらない。
こういう時ばかりは違う隊でよかったと、偶然の神に感謝した。

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