FC2ブログ
2018 12123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 02
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

探索67日目 2009-01-17
二振りの妖刀。
強力な力を内包した魔石。
紫水晶から鍛えられた短剣。
精製されていない銀の塊。
八つ指がある掌を連想させる葉。

これらを全てを、トライアドチェイン各員の力を借り、作り上げ、鍛えていく。

エゼ君には妖刀の素材を合成で作り上げて貰い。
セレナさんには妖刀を二丁、魔の力で作り上げて貰い。
エニシダさんには紫水晶から短剣を鍛え上げて貰い
(余談だが、紫のスコッチブルームとも言える、ハーデンベルギアの花を連想できるような色だった)。

アーヴィンさんとナミサ君にはそれらを纏め、合成し、一本の形に。
最後にアルクさんに、銀を触媒として斬れ味を高めて貰い、更に不可思議な形状の葉の力を宿して貰った。

かくして各員の力を結集した、一本の妖刀が手元に完成した。
アルテイシアさんは相変わらずまめに、作業中のまかないを作ってくれていたし、
ケイロンさんも携わりたかったと笑って言っていて、その気持ちだけで満たされるようだった。



鞘から抜き去ると、月光をしらじらと鈍く反射する刃が現れた。
それは私の髪よりもなお白く、そして僅かに向こうが透けて見えるような、世にも珍しい半透明の刀身だった。
刃紋はほぼ真っ直ぐで、飾り気も何もない。
ただ斬るためだけの、殺傷するだけの、いわば人斬り包丁とでも言おうか。
だがその人斬りの為だけの妖刀には、限りなく豊かなものが込められていた。



銘は、ない。
考えていなかったのだ。
皆が皆、一丁に集中したわけではなく、無論いつもの野営中の行事。
各員の技術を流れで使っていただけと言えばそれまでだ。
だが自然なそれが無性に嬉しく、すっかりそれを忘れていた。
ゆっくり考えればいいだろう。



明くる朝は朝露が降りるほど、空気が湿っていた。
山中の気候が変わりやすいのは、この偽の自然環境でも同じ事のようだ。
幸いメンバーの体調や装備品などには支障はなかった。アルクさんはかえって元気なくらいだ。

妖刀の柄から朝露を拭う。
一度軽く抜いて収め直そうとすると、半透明の刃に、何やら文字が浮かんでいた。
誰かの仕業だろうか。いや、そんなはずはなかろう。
ずっと私の脇にあった妖刀だ。誰かが取ろうとして気付かないはずはない。



白 鬼 天 草




妖刀にはそう、東方の言語で記されていた。
何の違和感なく、そういうものだと思い込ませる銘であった。



朝の清冽な風が、野営地を吹き抜けていった。

2nd_53.jpg


コメント非表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。