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探索80日目 2009-05-01
風が吹き抜ける森の中、夕暮れが近づく。
二階層の森と違い、地表に近いこの階層の森は涼しく、快適だ。
北の方からは川のせせらぎが聞こえ、激戦の後というのも相まって、心地よいひとときに思えた。

だが、この場にいるのは6名。
二番隊と三番隊だけだ。
一番隊は、一足先に遺跡外へと向かっていた。

あの猫を連れた褌の酔漢との戦いに不覚を取り、それでも討伐した後、我々との合流の機を逸してしまったのだ。
理由はさておき、こんなに長く別途に行動することは、島に来て以来初めてのことだった。

食事係が分断されたのは不幸中の幸いだろうか。
私一人で6人分を作ることになったが、実家は12人家族だ。さしたる負担はなかった。
少し前には二番隊と別行動で、その時は料理係が偏ってしまい、ケイロンさんがやたらとボヤいていたと後で聞いた。
今回は安心しただろうか。少し可笑しくなってしまったが、黙っておこうと思った。



セレナさん、アーヴィンさん、アルテイシアさん。
こう見るとムードメーカーがごっそり居ないのだった。
最初は冷やかしが飛んでこないので少し安心していたのだが、残ったメンバーは基本的に真面目なメンバーばかりだった。
別段居心地が悪いとか、息が詰まるといったことはないのだが、どこか静かすぎて落ち着かない。
アーヴィンさんと悪ふざけをよくしていたエゼ君も、今日に限っては大人しい。

食事時は皆、言葉少なにシチューのスプーンを口に運んでいたし、食後の作業に関しても同様だ。
調理中も味見調節を互いにしないと、味を客観的に見られなかった(問題はなさそうだったが)。

傭兵時代は孤独をひしひしと感じていたのに、島に来てからは仲間がいるのが当然になっていたと、とみに最近は強く感じる。
いや、傭兵時代も結局は組むことはあったし、実家にいた頃も誰かしらは居た。
真に孤独だったのは、一度死して霊魂のまま数年彷徨っていたときではないのか。

これからこの島がどうなるのかは分からない。
仲間達とどうなるのかもわからないし、何よりエニシダさんととうなるのかも。
―――ただ、何かしら、誰かしらと居るのではないかと、そんな予感はしている。
人間であるが故に、結局はずうっと独りで居ることは難しいのだろう。



鏡面の分身、もう一人の『私』が、少し離れた木の枝の上で鮮やかに笑んでいた。
あの立ち振る舞いを見るに、多分、予感は間違っていないのだろうと思う。



差し当たっては早く一番隊と合流したいものだ。
聞かずとも、他の皆も同じ気持ちだろう。
私は大きく背伸びをし、食後の洗い物を纏めにかかった。


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